神前有能[第二十五日]つなぐことと解くこと

ウォッチマン・ニー
神前有能
第三部、神がたまわる力

第二十五日
つなぐことと解くこと

わたしの手で造ったものについて、わたしに命じるのか。（イザヤ四十五・十一）

権威ある祈りには、二つの側面があります。ひとつは、つなぐ祈りであり、もうひとつは解く祈りです。地でつながれるものは、何であれ、天でもつながれ、また、地で解かれるものは、何であれ、天でも解かれることになります。地で行われることは、天でも、行われます。これが、マタイ伝十八章十八節です。第十九節も、祈りが続きます。ですから、つなぐことも、解くことも、同じように祈りを通して行われるものです。解く祈りとつなぐ祈りは、どちらも権威ある祈りです。普通の祈りは、つなぎ、解いていただくことを神に祈るものですが、権威ある祈りは、私たちが権威を用いて、つなぎ、解くものです。神がこうしてつなぐのは、教会が先につないだからであり、神が解くのは、教会が先に解いたからです。神はすでに、教会に権威を与えられました。教会がこの権威によって述べることを、主は何でも実行されます。


始めに、つなぐ祈りについて考えてみましょう。つながれる必要がある人や物事は数多くあります。あまりに話し過ぎる兄弟がいるとします。この人はつながれる必要があります。あなたは、神のところに行ってこう祈ることができます、『ああ、神様、この兄弟に、こんなにしゃべらせないでください。もうしゃべらないように、この男をつないでください。』こうして、あなたはこの人をつなぎますが、神もまた、しゃべり過ぎないように、この人を天でつなぎます。また、祈りや聖書の学びを妨害する人たちがいるかもしれません。それは、あなたの妻や夫、子供たちや友人かもしれません。あなたは、権威を用いて、ことあるごとに妨害するこの人たちのことで、つなぐ祈りを発することができます。神に、こう言えばよいのです、『ああ、神様、彼らをつないで、妨げることを何もできないようにください。』

会合の場で、言うべきではないことを言ったり、ふさわしくない聖句を引用したり、あるいは、不適切な聖歌を選ぶ兄弟もいるでしょう。このような人は、つながれる必要があります。こう言ってもかまいません、『主よ、あれこれの男はいつも判断を誤りますから、もう、このことをさせないでください。』こうしてつなぐことによって、神もまた、この人をつなぎとめるのを、あなたは見ることになります。時には、会合の平安を乱す人たち、例えば、会の途中で話したり、泣いたり、うろうろ歩き回る人たちがいます。会合においては、このようなことはよく起こります。そして、妨げとなることをするのは、ほとんど、いつも同じ数人の人たちです。このような人物と行動が、つながれなければならないのは当然のことです。そこで、あなたは言います、『神様、私たちは、この人たちが、いつも会合を邪魔することに気づいています。どうか、彼らをつないで、邪魔できないようにしてください。』二人、三人の者がいて、彼らが地上でつなげば、神もまた、天でつなぐことがあなたにも分かるでしょう。

妨げとなるこのようなものを全て、つなぐだけではなく、悪霊の働きの多くもまた、つなぐ必要があります。福音が述べ伝えられ、また、証しが語られるたびに、悪魔が人の心の中で働いて、多くの言葉を心にささやき、様々な醜い思いをそこに注ぎ込みます。このため、教会はこの邪悪な霊をつないで、ささやいたり、悪い働きをすることを防がなくてはなりません。こう宣言すべきです、『主よ、悪い霊たちの働きをすべて、つないでください。』地で、悪い霊たちをつなぐなら、彼らは同じように天でもつながれることになります。

権威ある祈りの別の面とは、解くための祈りです。解かれなければならないものとは何でしょう？具体的に思い描いてみましょう。会合には、多くの気弱な兄弟たちがいて、口を開かないようにしています。彼らは、何かの証人となったり、人に会うことを怖れているのです。このような兄弟たちが、縛りから解き放たれるよう、神に頼まなくてはなりません。短い言葉をかけて、彼らを励ますこともできますが、多くの場合、彼らに向かって何も言う必要はなく、その代わり、私たちは御座に近づいて、この状況に対処してもらいます。本来なら前に出て、主に仕えるべきでありながら、仕事や家族の問題、信仰のない仲間たち、外的な環境につながれている人たちもいるのです。彼らは、様々な種類の束縛につながれているのでしょう。しかし、私たちには、彼らが解かれて、外に踏み出し、主を証しできる者となるよう、主にお願いすることが許されています。兄弟たちよ、権威ある祈りが必要であることを、はっきり自覚していますか？その差し迫った必要に、本当に気づいているでしょうか？

お金の問題について言えば、それもまた、私たちの祈りを通して解かれるべきものです。サタンは、よく、人のふところを締め上げます。私たちも、必要に応じて、金銭問題から解かれて、経済的な欠乏が、神の働きの妨げとならないようにお願いするべきです。

真実もまた、解放されなければならないものです。私たちは、ことあるごとに、こう祈るべきです、『ああ、主よ、あなたの真実を解き放ってください。』あまりに固く縛られているために、述べ伝えられない多くの真実があります。たくさんの真実が述べ伝えられますが、それを聞いて理解するものは僅かしかいません。ですから、私たちは、真実を解き放ち、主の子供たちに届くようにしてくださいと、神にお願いすべきです。多くの場所では、真実が入り口で止められてしまうようです。中の人たちには、その真実にふれる機会さえ与えられません。神に、真実を解放して、それによって、縛られている多くの教会が解き放たれ、閉じられた多くの場所が開かれるように願うことは、私たちにとって、何よりも大切なことです。閉じられた場所に真実を送りこむにはどうすればよいか、主だけがご存知です。権威をもって祈る時、主は真実を送ってくださるはずです。ですから、私たちは、権威ある祈りを通して解かれるべき多くのことに心を配りましょう。

つなぐ祈りと、解く祈りには、特別の関心を払うべきです。多くのものがつながれる必要があります。多くのものが、解かれなければなりません。ここで、私たちは乞うのではなく、むしろ、権威を用いてつなぎ、解くのです。神が恵み深くあられ、私たちの誰もが、祈りの中で権威を用いるすべを学ぶことができますように。私たちは、祈り方を学ぶだけでなく、キリストの勝利とは何かということも知らなければなりません。キリストの勝利の中で私たちは解き、キリストの勝利の中で私たちはつなぎます。私たちは、神の御心と相反するものは全てつなぎます。権威ある祈りとは、天国による地の支配、あるいは、天の権威を地上で用いることです。

今日、私たちは、この地上にいる滞在者に過ぎません。実際に、私たちは一人一人が天的な人物として、天の権威を持っています。このことから、主の名によって呼ばれる一人ひとりは、地上では主を代表しているのです。私たちは、神が遣わした大使です。主のいのちを持つ私たちは、暗闇の力から解放されて、神の御子の愛の御国へと移されたものであり、この結果として、天の権威を与えられているのです。どのような時も、どこにいようとも、私たちは、天の権威を確保しています。私たちには、地上の問題に、天の手段によって対処することが許されています。神の恵みによって、私たちが真の祈りの戦士として主を助け、勝利者として主の権威を行使する者となって、キリストの勝利が現されますように。

最後に、ここで厳しい警告が発せられています。私たち自身が、神の権威に服従しなければならないということです。私たちが神の権威に完全に服従していなければ、権威ある祈りを行使することはできません。私たちは、神の権威に対して、ただ、その下に身を置くだけではなく、日常生活や行動の中で完全に服従すべきであり、そうしなければ、権威ある祈りをすることはできないでしょう。

聖書はさらに、祈り、断食、そして、権威のあいだの密接な関係を明らかにしています。祈りが私たちの願いを神に伝えるのに対して、断食は、私たちの自己否定を外に表すものです。神が人間に賜った最初の特権とは、食べ物でした。神はアダムに、他の何よりも先に、食べ物を与えました。すなわち、断食とは、人に最初に与えられた当然の権利を否定することを意味します。実際には、多くのキリスト者たちは、自分を否定することなく断食します、このために、彼らの断食は、本来の意味を持つものとして受け入れられないのです。パリサイ人たちは、断食しながら、一方では、人から搾取していました。本当の断食をしたら、彼らは、自分が奪い取ったものを返していたはずです。祈りとは、神に願い求めることであり、断食とは、自己を否定することですから、この二つの要素が結び合わされるその瞬間、信仰の口火が切られます。そして、それから、信仰によって、悪霊を追い出す権威が生じます。さて、神に何かを願いながら、自分を否定することは拒むなら、私たちが信仰を持つことはないし、そうなれば、権威を与えられることもないでしょう。しかし、神に対する望みと、自己の否定の両方があれば、私たちは直ちに、信仰と権威のどちらも手に入れることになります。私たちはすぐに、信仰の祈りを生み出し、権威ある祈りとすることさえできます。そして、権威ある祈りは、何よりも霊的な祈りというだけではなく、祈りの中でもっとも大切なものでもあることを、心にとめておいてください。