神前有能[第17日]目をさまして、祈りなさい

ウォッチマン・ニー
神前有能
第2部、あなたが祈るとき。

第17日
目をさまして、祈りなさい

すべての祈りと願いを用いて、どんなときにも御霊によって祈りなさい。そのためには絶えず目をさましていて、すべての聖徒のために、忍耐の限りを尽くし、また祈りなさい。（エペソ6:18）

この節で、目を引くのは、『そのためには絶えず目をさましていて・・・忍耐の限りを尽くし』というくだりです。『そのためには』という言葉は、何を指しているのでしょうか？

その前の部分を読むと分かるように、これは祈りと願いのことです。この使徒が言わんとしていたのは、『すべての祈りと願いを用いて、どんなときにも御霊によって祈る』だけでは十分ではなく、祈りと願いにおいては、さらに、『絶えず目をさまして・・・忍耐の限りを尽く』さなければならないことです。言葉を換えれば、一方では祈りがなければならず、他方では、目をさましていることが必要です。『目をさまして』とはどういう意味でしょう？それは、眠りに落ちないこと、目をしっかり開いて、あたりを見張り続けること、あらゆる危険、危機を防ぐことを意味します。祈りと願いにおいて、『目を覚ましている』とは、サタンの策略を見抜き、その目的と手段を見つけるための霊的な洞察力を培うことを語っています。では、願いと祈りにおいて、目を覚ましていることの具体的な側面に入ってゆくことにしましょう。

祈りは、努めのひとつです。祈りは、ひときわ高い位置に置かれるべきものです。サタンはいつでも、祈りの前に、主とは関わりのない何ごとかを人の心に送り込み、祈りを後回しにさせようとたくらんできます。祈りの大切さを教えられても、その本当の意味を理解している人は多くはありません。人は、奉仕会、聖書研究会などには熱心に参加します。そのような会合に参加する時間は作ります。しかし、祈り会となると、参加者は驚くほど僅かしかいません。お知らせが、繰り返し回覧され、その中で、我々の根本的な努めは祈りであり、祈りの生活につまづけば、全てにつまづくと、伝えられても、祈りには十分な関心が払われず、大した影響はないものと思われています。山積みになった問題に直面したとき、私たちは口では、祈りだけが解決できるなどと言うかもしれませんが、実際には、祈るよりもしゃべることが多く、祈るよりも思い煩うことが多く、また、祈るよりも自分で手立てを考えることのほうが多い者です。早い話が、あらゆることが祈りの前に置かれるのです。他のことが、ひときわ目立つところに置かれ、祈りは片隅に追いやられます。祈りはもう、どうでもよいことになってしまいます。


ある時、主を深く知っている人が言いました、『私たちはみな、祈りを軽んじるという罪を犯してきました。自分に向かってこういうべきです、それをしたのはお前だ、と。』まさしく、私たちは自分にこう言うべきです、『お前こそがそうしているのだ！』他の誰かに向かって、相手が祈らないと言って、咎めてはいけません。私たち自身、悔い改めが必要なのです。私たちは主に目を開かれ、祈りの大切を新たに心に刻んでいただいて、その価値をあらためて知ることが、どうしても必要です。これに加えて、サタンにだまされていなければ、ここまで祈りを怠らなかったことも覚えなくてはいけません。ですから、いつも気を付けて、サタンが用いるさまざまな策略を見逃さないようにしてください。祈りの中でつい気を緩めて、悪魔の惑わしを許すことがあってはいけません。

兄弟たちよ、祈りの時間を守るために戦わなくてはいけません。祈りの時間を持たなくてはならないのです。時間が空いたときに祈るような気持ちでいたら、祈る機会は決して訪れないでしょう。祈るための時間をはっきりと定めることです。祈る時間をきちんと決めていない人は、アンドリュー･マーレーが警告したように、『祈っていない』のです。ですから、いつも気をつけて、祈る時間を確保することが必要です。私たちはまた、この祈りの時間を守るために祈りを用い、悪魔の策略によって、その時間を取り去られないようにしなくてはいけません。

祈りの時間を守るために目を覚ましているだけではなく、祈っている間も、本当の祈りができるように、心を用いなければなりません。私たちが、実際にひざまずいている間も、サタンは様々な手を使って、祈りを妨害しようとするからです。祈る前からサタンは、同じように、私たちを圧迫し、祈る時間を奪おうと、周囲にあるあらゆるものを利用してきたのです。

私たちの心ははっきりしており、思いは定まっています。それなのに、祈るためにひざまずくとすぐに、私たちの思いは散り散りに乱れて始めます。思い出してはいけないことを思い出します。思い煩うべきでないことで、悩んでしまいます。そして、多くの不要な考えが突然、心に飛び込んできます。この思いは、祈りの前にはなかったものです。しかし、祈りの時間になった途端に、雪崩をうって入り込んできて、私たちの心をかき乱します。

ここに闘いが生じます。祈る前にはまず、祈りを用いて、自分が祈れるようにしてくださいと神に頼むべきです。そして、こうして祈っている間、自分が一心に祈り、敵がどんな手段を使っても、その祈りがかき乱されることのないように助けてくださいと、神に願ってください。こういった心を乱す考え、声、弱さ、病いには、こう言い返してやりましょう、そんな根拠のないデタラメは全て、ウソ、サタンのまやかしだ、跳ね返してやる、と。私たちは、声を上げて、これを追い払い、敵が入り込む余地を絶対に与えません。私たちは、サタンのまやかしに目を開き、祈りで抵抗することによって、ただ祈るだけでなく、祈りぬかなくてはいけません。

祈りぬくこと、力強く祈ろうとすることは、空しい願いではありません。気休めのことばや慰めによっては、この祈りの生活に入れませんし、意識せずに祈りの生活に入り込むこともありません。このような祈りを得るために、私たちは少し学び、少し砕かれ、少し戦わなくてはなりません。