トウザーは、ペンシルベニア州の小さな農村ラ・ホセの西部で生まれた。十代のころ、オハイオ州アクロンで仕事からの帰り道、彼は路上の説教者の言葉を耳にした、『どうすれば救われるか分からなければ、神にこう頼むだけでよい、主よ、罪人の私を憐れんでください。』家に帰ると、彼は屋根裏部屋に上り、これを実行した。これがきっかけでトウザーは、キリスト教徒に改宗した。
それから5年後の1919年、正式に神学を学んだこともないまま、トウザーは初めて行った教会の牧師になって欲しいという要請を受け入れた。これは、彼の44年に渡る聖職者としての活動の始まりであり、この後、たくさんの教会で牧師として勤めた。初めて、牧師として働いたのはウェスト･バージニア州ナッター・フォートにある道端の小さな教会だった。トウザーは、シカゴのサウスサイド･アライアンス･チャーチでも30年間、牧師として働いた。キリスト者の生き方を観察して、彼は教会が『この世的の』関心と妥協するという危険な道を歩んでいると感じていた。
貧しい家に生まれたトウザーは、高校と大学で学ぶ科目を独学で勉強した。その功績により、トウザーは二つの名誉博士号を受けた。
トウザーの名がついた書籍は60冊以上、出版されているが、ほとんどは死後、説教や雑誌記事をまとめたものである。『神への渇き（The Pursuit of God）』と『神の再発見（The Knowledge of the Holy）』の2冊は、キリスト教における古典とみなされている。彼の著作は、人が神とより深い関係を持つことが可能、かつ、必要であることを、読むものに知らしめる。
トウザーは、伝道活動の最後の数年間をオンタリオ州トロントのアベニュー･ロード･チャーチで送った。彼はこの教会で、心臓発作で死亡し、オハイオ州アクロンの墓地に埋葬された。墓標には、『エイデン・W･トウザー、神の人』とのみ刻まれている。最後のメッセージ、『教会におけるキリストの衰え行く権威』の中で、トウザーは書いている、『福音教会ではキリストは実のところ、愛される象徴に毛が生えたようなものだ。イエス様が主であることは忘れられてはいないものの、それはほとんど賛美歌まで格下げされてしまった。主の権威に対する責任は、宗教的な高揚感におぼれる中で、どこかへ流れ去ってしまうかもしれない。』トウザーの伝記、『In Pursuit of God: The Life Of A. W. Tozer』を書いたジェームス･シュナイダーは、『これはトウザーの告別の言葉で、彼の懊悩を現している』と、述べている。
トウザーには、6人の息子と一人の娘がいた。つつましい生活を送ったトウザーと妻、アダ･セシリア・フォーツは自動車を持たず、バスと汽車で旅することを好んだ。著名なキリスト教作家となった後も、印税収入のほとんどを放棄し、貧しい人たちに分け与えた。
祈りは、トウザーの生活の一部として欠かすことのできないものであった。前述のシュナイダーは、『トウザーの説教や著作は彼の祈りの生活の延長に過ぎない。トウザーには、聞くものに、神が語る言葉を通じて、自分自身と向かい合わせる能力があった』と書いている。
著書（日本語に訳されているもの）
- 『神への渇き』、いのちのことば社、柳生直行訳、1958、The Pursuit of God, (1948).
- 『神の再発見』、いのちのことば社、土屋順一訳、1967、The Knowledge of the Holy.
- 『神のとりたもう勝利』、いのちのことば社、松代幸太郎訳、1961、The Divine Conquest.
- 『キリストに根ざして』、いのちのことば社、1970、The Root of the Righteous
- 『力への道（勇気ある服従）』、信仰良書選42、いのちのことば社、土屋順一訳、1968、Paths to Power
- 『日々、聖霊に満たされて』、いのちのことば社、伊藤顕栄訳、2009、Tozer on the Holy Spirit: A 366-Day Devotional (Tozer for Today)
- 『リバイバルの条件』、いのちのことば社、1972、Born after Midnight
- 『霊とまことをもって』、いのちのことば社、坂部三恵子・出版部共訳、1990、In Spirit and Truth
- 『A.B.シンプソンの生涯』、いのちのことば社、翻訳委員会訳、1980、The Life of A. B. Simpson
- 『父の約束:どのようにして聖霊に満たされるか』、いのちのことば社、いのちのことば社出版部訳、1974、How to be Filled with the Holy Spirit
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