2019年12月6日金曜日

スポルジョン、『もろびとこぞりて』、第六日

もろびとこぞりて
―降臨節に向けた25章
チャールズ・H・スポルジョン

Joy To The World
Daily Readings For Advent

第六日:見えない糸

そのころ、全世界の住民登録をせよという勅令が、皇帝アウグストから出た。これは、クレニオがシリヤの総督であったときの最初の住民登録であった。それで、人々はみな、登録のために、それぞれ自分の町に向かって行った。ヨセフもガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。彼は、ダビデの家系であり血筋でもあったので、身重になっているいいなずけの妻マリヤもいっしょに登録するためであった。(ルカ2:1-5)

私たちの主はユダ族から[生まれると預言されていました]。神が、しもべ、ミカを通して語った言葉によれば、その方は、ベツレヘムで生まれることが必要でした(ミカ2:7)。しかし、無名の大工とどこにでもいる娘の家系に、民衆の気持ちを引き付けることなど、どうしてできるでしょうか?このつつましやかな二人のどこに、登記簿の記録人は関心を持てばいいのでしょうか?二番目の点については、マリヤはガリラヤのナザレに住んでおり、子供は当然、そこで誕生することになるだろうと思われました。実際に、出産のときは近かったので、よほど差し迫った必要がなければ、南のユダヤ地方に向けて、長く退屈な旅に出発しようなどと思わないはずです。この二つの事がらは、どのように整えられたのでしょう?

小さな暴君、ヘロデは自分の考えを押し通そうと試みたために、大君主であるアウグストの怒りをかいました。アウグストは、ヘロデを友ではなく家臣として扱うと告げたのです。ヘロデが王に取り入ろうと卑屈な態度を見せ、ローマ宮廷の友人たちが仲裁を試みても、怒りのおさまらないアウグストは、課税の準備として、ユダヤの民全体の住民登録を行うように命じました。しかし、これが行われたのは十年ほど後のことでした。暴君の思い付きなど、風や波よりもずっと気まぐれなものですが、嵐をも従わせる主は、世の君たちの曲がった心を思うがままに動かすすべをご存知です。私たちの主なる神は、もっとも荒ぶる軍馬のくつわ、恐ろしい海獣を釣りあげる針を手中におさめています。独裁者シーザーは見えない糸で動かされる操り人形、私たちの王の王に使われる下僕にに過ぎません。

[14] No room for Christ in the inn - Sermon delivered December 21st 1862 

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